「個人事業主になるにはどうすればいいの?」という疑問にお答えします。
個人事業主になるための手続きはとても簡単で、開業届を作成して提出するだけです。作成方法も難しくなく、freee開業を利用すれば、作成から提出までインターネット上で完結できます。
しかし、実は開業する前後にやっておくべきことが多数あるのをご存知でしょうか。
本記事では、実際に個人事業主として開業しているかつFP2級を持つ私が、個人事業主になるための手順について詳しく解説します。さらに、個人事業主になる前となった後にやっておくべきことについても説明します。
本記事を参考にして、スムーズかつ有利に個人事業主になってくださいね。
個人事業主になる前に準備・確認しておくべきもの
個人事業主になる前に準備・確認しておくべきものは、会社を辞める場合と副業で事業をやる場合で多少異なります。
(会社を辞めて事業をする場合)
- 事業用のクレジットカードを作る
- 住宅ローンに申し込む
(副業で事業をする場合)
- 就業規則に違反していないか確認する
- 所得が年間20万円を超えたら自分で確定申告する必要がある
上記を知らずに個人事業主になって後悔してしまう人を見てきました。みなさんにはそうなってほしくないので、それぞれ詳しく解説します。
会社を辞めて事業をする場合
会社を辞めて個人事業主になる場合は、在職中に以下の2つをしておくのをおすすめします。
- 事業用のクレジットカードを作る
- 住宅ローンに申し込む
開業したての個人事業主は、会社員と比べると社会的信用がないと判断されやすいです。そのため個人事業主になった後では、クレジットカードやローンの審査に通りにくくなり、上記ができなくなる可能性があります。
事業用のクレジットカードを作る
会社員のうちに、個人事業主になった後に使う事業用のクレジットカードを作っておきましょう。クレジットカードの審査も、会社員のほうが通りやすいためです。
また、事業用とプライベート用のクレジットカードを分けておけば、経費精算が楽になります。
もし事業用のクレジットカードはどれにするべきか迷うなら、JCB CARD BIZがおすすめです。年会費が初年度無料かつ、以降も1,375円(税込)と安く使えます。
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個人事業主になった後に使うクレジットカード選びが不安なら、とりあえずJCB CARD BIZにしておけば損しません。加えて、新規入会キャンペーンでAmazonギフトカードやキャッシュバックがもらえることがあるので、チェックしてみてください。
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住宅ローンに申し込む
個人事業主になる前に、住宅ローンに申し込んでおきましょう。個人事業主は会社員に比べて収入に波がある傾向なので、金融機関からすると安定してローンを返済できないと思われやすいです。そのため、個人事業主は会社員より住宅ローンの審査に通りにくい傾向にあります。
直近で住宅ローンを使いたいなら、申し込んで審査に通ってから個人事業主になりましょう。
副業で事業をする場合
会社員を続けながら、副業で個人事業主として活動する場合は、以下の2つを確認しておきましょう。
- 就業規則に違反していないか確認する
- 所得が年間20万円を超えたら自分で確定申告する必要がある
上記を把握していないと、個人事業主になった後に会社とトラブルになる可能性があるので注意してください。
就業規則に違反していないか確認する
個人事業主になる前に、会社の就業規則を確認して副業が禁止されていないか確認しましょう。禁止されているにもかかわらず、個人事業主になって事業を始め、会社に見つかってしまったら、人事評価に悪影響を及ぼすかもしれません。
禁止されていなくても、あらかじめ副業の内容を申請する規則になっている場合があります。副業OKと認識していても、念のため改めて就業規則を確認しておきましょう。
所得が年間20万円を超えたら自分で確定申告する必要がある
個人事業主になった後、所得が年間20万円を超える場合、自分で確定申告をする必要があります。実際に国税庁の公式サイトを確認すると、その旨が記載されています。
1か所から給与の支払を受けている人で、給与所得および退職所得以外の所得の金額の合計額が20万円を超える人 |
なお、売上ではなく、所得である点には注意してください。つまり、売上から経費を引いた金額が20万円を超えたら、確定申告の必要があります。
例えば、年間の売上50万円で、経費が10万円だった場合、所得は40万円となるので確定申告しなければいけません。一方、年間の売上が50万円で、経費が35万円だったら、所得は15万円なので、確定申告は不要です。
もし確定申告が必要となった場合、所得に応じて所得税や住民税などがかかります。
個人事業主になるための手順
個人事業主になる前にしておくべきことを終えたら、以下の書類を提出して、個人事業主として開業しましょう。
- 開業届を提出する
- 青色申告承認申請書を提出する
- その他に必要な書類を提出する
なお、厳密には開業届さえ提出すれば、個人事業主にはなれます。とはいえ、必要に応じて、その他にも同時に提出するべき書類があるので、あわせて解説します。
各種書類の作成および提出方法はさまざまあり、主に以下の4つです。
- freee開業
- e-Tax
- 開業届を印刷して記入後、税務署へ郵送
- 税務署の窓口
提出先は納税地を所轄する税務署となるので注意してください。異なる税務署へ提出した場合、誤った旨を連絡する手間が発生してしまいます。
freee開業を利用すれば、各種書類すべてを最短5分で提出までできて非常に楽です。ただし、提出まで行うには、マイナンバーカードとそれを読み取れるスマホもしくはカードリーダーが必要となります。
もし無くても、書類の作成までは完全無料でできるので、ぜひ活用してください。
ここからは各種書類の概要を説明しつつ、freee開業を利用して提出する方法を解説します。
開業届を提出する
開業届は、税務署に個人事業を開業したことを申告するための書類です。
(開業届)
開業届は、事業を開始してから原則1ヶ月以内に提出する必要があります。
[提出時期]事業の開始等の事実があった日から1月以内に提出してください。なお、提出期限が土・日曜日・祝日等に当たる場合は、これらの日の翌日が期限となります。 |
とはいえ、事業開始から1ヶ月を過ぎて提出しても、ペナルティはなく受け取ってくれるので安心してください。
それでは実際にfreee開業を利用して、開業届を作成して提出するまでの流れを簡単に説明します。私もfreee開業を使ってみて、本当に簡単だったので強くおすすめします。
まずはfreee開業のWebページを開き、「開業書類を作る」をクリックしてください。
次に会員登録をします。GoogleもしくはMicrosoftのアカウントと紐づけることも可能です。
続いて、開業届を作成するにあたって、必要な情報を入力していきます。入力する情報は、氏名や生年月日などをはじめ、仕事の種類や収入、確定申告の種類などさまざまです。
入力を終えたら、「保存」を押していってください。
難しい単語やどのように入力すればいいか分かりにくい部分は、?マークにカーソルを当てたり、吹き出しを見たりすれば分かるようになっています。知識に不安がある人でも、スムーズに書類を作れるようになっているので安心してください。
すべて入力し終えたら、「次へ」を押しましょう。
その後、開業届の提出先と提出方法を選択してください。なお、提出先は基本的に自動で入力されています。
また、提出方法は「スマホで電子申請」もしくは「PCで電子申請」を選択すれば、税務署へ行ったり、書類を印刷して郵送したりせずに済みます。
提出方法を選択したら、その後に具体的な提出方法の手順が表示されるので、その通りに進めてください。このようにfreee開業を使えば、知識がなくても簡単に開業届を作れます。
青色申告承認申請書を提出する
青色申告で確定申告をしたい場合は、開業届と一緒に青色申告承認申請書も提出しましょう。なお、青色申告承認申請書の提出時期は、原則、青色申告をしようと考えている年の3月15日までです。
[提出時期]青色申告書による申告をしようとする年の3月15日まで(その年の1月16日以後、新たに事業を開始したり不動産の貸付けをした場合には、その事業開始等の日(非居住者の場合には事業を国内において開始した日)から2月以内。)に提出してください。 なお、提出期限が土・日曜日・祝日等に当たる場合は、これらの日の翌日が期限となります。 |
青色申告承認申請書を出せば、最大65万円の青色申告特別控除を利用できるようになり、税制優遇が受けられます。もし所得税率が20%だった場合、最大13万円もの所得税を支払わなくて済むのです。個人事業主になるなら、青色申告での確定申告はほぼ必須といえるでしょう。
そんな青色申告承認申請書も、freee開業で同時に作成して提出までできます。具体的には、各種情報を入力する段階で、確定申告の種類を「青色申告 55万円控除」にするだけです。
あとはその他の入力情報を基に、自動的に青色申告承認申請書を作成してくれます。
その他に必要な書類を提出する
その他、状況に応じて以下の書類も同時に、作成および提出する必要があります。
必要な場合 | 書類名 | 提出時期 |
---|---|---|
家族を従業員として雇用し、給与を経費として差し引く場合 | 青色事業専従者給与に関する届出・変更届出書 | 給与を必要経費に算入しようとする年の3月15日まで |
給与から源泉徴収した所得税を年2回にまとめて納付したい場合 | 源泉所得税納期の特例の承認に関する申請書 | 特になし |
国内で給与の支払いをする事務所を開設した場合 | 給与支払事務所等の開設届出書 | 開設日から1ヶ月以内 |
とはいえ、freee開業を使えば、上記の書類が必要かどうかも自動で判断してくれるのです。もし必要なら、自動作成してくれるので、書類漏れが発生することがありません。
個人事業主になった後にやるべきこと
個人事業主として開業したら、なるべく早く以下の対応をしましょう。
- 国民健康保険に加入する
- 国民年金に加入する
- 事業用の銀行口座を作る
- 確定申告に向けて準備する
- 小規模企業共済の加入を検討する
- インボイス制度に対応する
上記の対応が抜けていると、個人事業主として活動していく上で不都合が発生する可能性が高いので、それぞれ説明します。
国民健康保険に加入する
会社員を辞めて個人事業主になるなら、国民健康保険に加入するか会社の健康保険を任意継続するか選択しましょう。
一般的には、国民健康保険に加入する人が多いです。なぜなら健康保険を任意継続した場合、今まで会社が負担してくれていた保険料も支払わなければいけなくなるためです。
さらに、傷病手当金や出産手当金を受ける条件を満たしている場合を除いて、両方の給付制度を受けられなくなってしまいます。つまり、保険料は上がるにもかかわらず、保険内容が少なくなってしまうのです。
ただし、扶養家族がいる場合は、税金面を考慮して、任意継続したほうがお得な場合があります。
国民健康保険に加入するなら、住んでいる地域の役所の国民健康保険担当窓口で加入手続きをしてください。
国民年金に加入する
会社員を辞めて個人事業主になったら、退職日の翌日から14日以内に、住んでいる地域の役所で国民年金への加入手続きをしてください。加入する年金制度が、厚生年金から国民年金に変わるためです。
その際、基礎年金番号が分かる書類を持っていく必要があるので、忘れないようにしましょう。なお、マイナンバーカードを利用して電子申請することも可能です。
事業用の銀行口座を作る
個人事業主になったら、事業用の銀行口座を作ると便利です。プライベート用と分けることで、事業における収入と支出を管理しやすくなります。
さらに、freee会計のような経費精算システムと連携すれば、売上や経費を自動で記帳できます。結果、確定申告時に必要な書類を楽に作成できるようになるのです。
ではどの銀行の口座を作るべきかというと、三菱UFJ銀行をおすすめします。なぜなら三菱UFJ銀行であれば、取引先と同じ銀行となる確率が高く、振込手数料を抑えられるからです。
実際、2023年時点で三菱UFJ銀行をメインバンクとしている企業は9万4513社あり、15年連続で圧倒的トップシェアとなっています。
また、国民健康保険料の口座振替に対応しているのも便利です。手数料が安いといわれるネット銀行の多くは対応していなくて、少し不便です。
実際に私も三菱UFJ銀行の口座を事業用として使っており、かなり使いやすいと感じています。
個人事業主になったら、事業用として三菱UFJ銀行の口座を作りましょう。もしすでにプライベート用として使っているなら、それを事業用にし、別の銀行口座を開いてプライベート用にするとよいです。
確定申告に向けて準備する
個人事業主として活動を始めたら、確定申告に向けた準備をコツコツとしましょう。
個人事業主になったら、毎年2月15日〜3月15日の間に前年度分の売上や所得を計算し、自分で確定申告する必要があります。
ギリギリになって準備し始めると、誤って記帳したり、余計に時間がかかったりするので注意してください。実際に私も2月になるまで準備をせず、請求書や領収書が見つからなくてかなり焦った経験があります。
できれば毎日、少なくとも毎週は取引を記帳して、確定申告に備えておくべきです。
とはいえ、経理の知識がない自分が正しく準備できるのか不安に思う人は多いでしょう。それなら、freee会計というクラウド会計ソフトを利用すると非常に楽です。
freee会計に事業用のクレジットカードや銀行口座を紐付けておけば、お金の動きがある度に自動で記録してくれます。もちろん手動での記録もできるので、現金支払いした場合も安心です。
さらに、設問に◯✖️で答えていくだけで、記録されたデータを基に確定申告に必要な書類を作成してくれます。作成した書類をそのままオンラインで提出することも可能なので、非常にスムーズに確定申告ができるのです。
もし操作方法や入力内容などで疑問が生じても、チャットやメールなどでサポートを受けられます。開業したてで税理士に依頼するお金がないなら、まずはfreee会計を活用して便利に確定申告に備えましょう。
小規模企業共済の加入を検討する
個人事業主になったら、小規模企業共済への加入をおすすめします。なぜなら個人事業主になって国民年金に加入すると、厚生年金と比べて、将来受け取れる年金額が大幅に減ってしまうからです。
2022年度の「厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、厚生年金の平均受給月額は約14万4,000円です。一方、国民年金の場合、2023年時点で満額受け取れたとしても、月額6万6,250円しかもらえません。つまり、定年まで会社員をしていた人と比べて、月額7万7,750(年額93万3,000円)も受け取れる年金が少なくなってしまうのです。
この年金対策として、個人事業主ならではの資産形成に使える制度である小規模企業共済は、非常に有効といえます。
小規模企業共済とは、一定の掛金を定期的に積み立てていくことで、自分自身で年金や退職金を作れる経営者や個人事業主向けの制度です。さらに、掛金の全額を所得控除できるため、税金対策にもなるのです。ただし、20年未満で任意解約した場合は、受け取れる金額が掛金合計(=元本)を下回ってしまうので注意してください。
実際に毎月1万円を小規模企業共済で積み立てていて、老齢給付として請求した場合の受け取れる金額は以下の通りです。
掛金納付年数 | 掛金合計 | 受け取れる金額 |
---|---|---|
5年 | 60万円 | 61万4,600円 |
10年 | 120万円 | 126万800円 |
15年 | 180万円 | 194万400円 |
20年 | 240万円 | 265万8,800円 |
このように掛金合計より多くのお金を受け取れます。年金制度が会社員のときより不利になった分、小規模企業共済も活用して将来の備えをしておきましょう。
インボイス制度に対応する
個人事業主になったら、インボイス制度に対応しておくのをおすすめします。インボイス制度に対応していないと、クライアントから継続取引を断られてしまう可能性があるからです。
インボイス制度とは、一定の条件を満たした請求書(適格請求書)に基づいて消費税の仕入税額控除を計算する制度です。適格請求書を発行するには課税事業者になって、インボイス登録番号を取得する必要があります。
実は課税事業者(取引先側)が適格請求書を発行できない免税事業者(個人事業主側)と取引した場合、課税事業者はその際に支払った消費税を控除できなくなってしまうのです。そのため個人事業主側も課税事業者にならないと、取引先の税負担を増やしてしまうことになるため、継続取引を控えられる可能性があります。
ただし、必ず課税事業者として登録する必要はありません。加えて、2026年9月までは特例措置として、免税事業者と取引していても仕入税額の80%は控除できるため、すぐに取引がなくなることはないでしょう。
とはいえ、クライアントから取引の継続を断られる可能性が少なからずあるので、対応しておくのが無難です。
個人事業主になるにはfreee開業を使えば簡単!
個人事業主になるには、開業届を税務署に提出するだけです。さらに、freee開業を使えば、最短5分でインターネット上で、開業に必要な書類を作成から提出までできます。
個人事業主になるのはまったく難しくないので、freee開業を活用してスムーズに事業を始めてください。