組織に属さず、自分のスキルを活かした働き方をするフリーランスですが、リモートで働くことが多いため働く場所には縛りがありません。
そのため、自宅で仕事をする方もいれば事務所を借りて仕事をしている方もいます。
事務所を借りるとなれば、物件を探して契約をする必要がありますが、手間をかけてまで事務所を借りる必要があるのかと疑問を抱く方もいるはずです。
そこで今回は、フリーランスが事務所を借りるメリットやデメリットをご紹介していきます。
事務所以外の仕事場や事務所選びで押さえるべきポイントも解説していくので、仕事場選びで悩んでいるフリーランスの方は、ぜひ参考にしてみてください。
フリーランスは「自宅」と「事務所」のどちらで仕事をしている人が多い?
フリーランスは、自宅と事務所のどちらで仕事をしている人が多いのでしょうか。調査結果をもとにしてその割合をみていきましょう。
「自宅」で仕事をしている人が多数派
2018年に日本政策金融金庫によって発表された「フリーランスの実態に関する調査」によれば、自宅で仕事をしているフリーランスが最も多い結果となりました。詳細は以下のとおりです。
・自宅の居室:61.1%
・自宅併設の事務所等:17.0%
・自宅と独立した事務所等(自宅から片道15分以内):5.8%
・自宅と独立した事務所等(自宅から片道15分以上30分未満):3.4%
・自宅と独立した事務所等(自宅から片道30分以上1時間未満):3.7%
・自宅と独立した事務所等(自宅から片道1時間以上):1.9%
・顧客から指示された場所:23.0%
・業務用車両:6.0%
出典元:https://www.jfc.go.jp/n/findings/pdf/sme_findings180322.pdf
フリーランスの80%近くが在宅で仕事をしていることがわかります。
仕事によってはクライアント先に常駐するケースも
仕事によっては、クライアント先に常駐する場合もあります。
常駐型フリーランスと呼ばれ、案件ごとに企業と契約を結んで企業に常駐して作業を進める働き方です。1~3か月など、一定期間ごとに契約・更新を行うことが一般的です。
常駐先となる企業の正社員と共に仕事をしていくので、服装や出勤時間、退勤時間は企業のルールに従わなければいけません。しかし、現場にいる正社員から刺激を受けることもあり、仕事へのモチベーションを保ちやすいです。
また、仕事で使用するツールを自分で用意する必要もありません。
エンジニアであれば開発に必要な環境がすべて整っているため、自分で用意する必要なく仕事をスタートできます。
また、一定期間ごとでの契約なので収入も安定しやすいでしょう。
さまざまな企業に常駐するため、企業とのつながりができます。つながりがあれば、今後案件を発注してもらえる可能性もあるため魅力のある働き方です。
フリーランスが仕事のために「事務所」を借りるメリット
フリーランスとして働く方の多くは、自宅で仕事をしています。しかし、事務所を契約して仕事をしている方も一定数いるのが実情です。ではなぜ、事務所を借りてまでフリーランスとして働いているのか、その理由を解説していきます。
事業者としてクライアントから信用を得やすい
企業に属していないフリーランスは、法人と比較すると社会的信用を得にくいのが特徴です。
信用が得られなければ、案件の獲得や融資にも影響します。
「事業を本当に行っているのか」「どんな事業をしているのかわからない」と思われてしまえば、仕事にも悪影響を与えてしまうでしょう。
しかし、事務所を構えるだけでビジネスを実際にしていることを顧客となるクライアントに伝えることが可能です。
業界の中には事務所を構えていることが条件となっているケースもある※で、より多くの仕事に従事するためにも、事務所を構えることを検討してみましょう。
※医師、弁護士、会計士等は法令上必要。情報セキュリティが重要となる仕事等では、事務所がない場合に契約を見送られるケースもある
自宅住所などの個人情報を非公開にできる
個人情報を公開せずに済む点も事務所を借りる大きなメリットです。
名刺やWebサイトなどには住所を掲載するケースもあります。自宅が勤務先となれば自宅の住所を乗せる必要があるため、さまざまな人たちに住所が知られてしまうことになります。
また、活動においては契約書類への署名も必要です。
自宅が勤務場所だと住所を記載する欄にはもちろん自宅住所を記入するため、強い抵抗感を抱く方も中にはいるはずです。
契約書を装った詐欺やストーカー被害、クレーマーが自宅に押し掛けるなど、トラブルに巻き込まれる可能性もゼロではありません。
しかし、事務所があれば自宅住所を記載する必要がないため、個人情報流出の防止などプライバシーを守りたい方は事務所を構えた方が、安心度がアップします。
仕事とプライベートの切り替えがしやすい
自宅で仕事をする場合、普段の生活で過ごす住居が仕事場になるので仕事モードへの切り替えが難しくなってしまいます。
自宅となれば自分の好きなように仕事ができるので、休憩をはさんだり、音楽を聴いたりなど、働きやすい環境を生み出しながら仕事ができます。
しかし、仕事モードに気持ちを切り替えることができなければ、作業をスムーズに進めることができずに時間もかかってしまうことがあるでしょう。
自宅に家族がいる状態であれば、家族からの要求に応える必要もあり、思うように作業を進められません。「いつでも再開できるから大丈夫」といった考えがあるかもしれませんが、作業が長引いてしまえばクライアントにも迷惑をかけてしまいます。
生産性を高められるよう努力しなければ契約を打ち切られる可能性もあるので注意が必要です。契約が無くなってしまえば無収入となり生活にも影響を与えてしまいます。
一方、事務所を借りている場合は仕事をするために事務所まで足を運ぶ必要があります。
その時点でプライベートと仕事のオン・オフができ、気持ちも切り替えやすくなるはずです。集中して作業を進められるため、効率的に仕事ができるようになります。
仕事上での関係者を招きやすい
自宅が仕事場であると、仕事上の関係者を招く場合も周囲へ迷惑をかけないか心配になってしまいます。また、プライベートな空間を見られることに抵抗感を抱く方もいるでしょう。家族がいる場合は、家族も関係者もお互いに気を遣ってしまうため、作業を思うように進められないケースもあります。
そのため、打ち合わせの際には近くのレストランやカフェを利用する場合もあるはずです。自宅で行わない分、気を遣わずに話ができますが、交通費や飲食代が発生します。経費で落とすことは可能ですが、支出した金額が戻ってくるわけではありません。
しかし、事務所があれば自宅に招く必要がないため、デメリットを解消できます。
打ち合わせや会議も事務所で実施でき、クライアントにも住所を伝えやすいでしょう。打ち合わせの場に移動する必要もないので時間や手間を無駄にかける必要もありません。
仕事がしやすい環境を整えられる
事務所を借りれば仕事がしやすい環境を整えられます。
自宅で仕事をするとなれば、共有スペースの問題や家具の配置などから希望する作業スペースを作り出せない可能性があります。部屋を確保できなければ共有スペースの一角のみが作業スペースとなるため、仕事に集中できないケースも考えられるでしょう。
しかし、事務所であれば自分好みの設備を取り入れることが可能です。デスクやオフィスチェア、ネット回線やOA機器に至るまで、すべてを自分の好きなように決められます。ブラインドやカーテン、時計やカレンダー、照明や棚など、インテリアまで自由に決められるので、作業効率等を追求した好みの環境の中で仕事をすることが可能です。好きなものに囲まれた空間で仕事ができれば、作業効率アップにもつながります。
ただし、内装にこだわりすぎると予算オーバーとなる可能性もあります。DIYや中古品などを取り入れるといったコストをかけない対策も必要です。
経費の計算が簡単になる
フリーランスは、仕事場の確保にかかる費用や日々の事業で利用する費用は経費として計上できます。自宅での仕事でも経費計上を行えますが、全額を計上することはできません。家賃や水道光熱費は日常生活でも使用しているため、家事按分する必要があります。
仕事で使用している自宅の広さや仕事をしている時間などから、「家賃や光熱費のうち○%を事業で使用しているか」を計算しなければいけません。そのため、経費計上の複雑さに対して面倒だと感じる方もいるでしょう。
一方、事務所があれば家賃や光熱費、備品代など、事業で必要となった支出は全額計上可能です。会計業務の負担が減る点も大きなメリットといえます。
フリーランスが仕事のために「事務所」を借りるデメリット
フリーランスが事務所を借りるとさまざまなメリットが得られます。しかし、その一方でデメリットがある点も忘れてはいけません。事務所を借りるリスクを前もって把握するためにも、以下の内容を参考にしてください。
初期投資やランニングコストがかかる
自宅での仕事であれば、ネット環境を整えるだけで作業を進められます。
しかし、事務所を借りるとなればさまざまな費用がかかるので、ある程度の資金が必要です。必要となる可能性のある主な初期費用は以下のとおりです。
- 敷金
- 礼金
- 仲介手数料
- 前家賃
- 内装工事費
- 電気工事費
- ネット回線
- 引越し費用
- 設備投資費
など。
事務所を構えるエリアによっては費用も高額になってしまいます。
来客用の空間やこだわりの設備を導入したい場合は、さらなる費用が発生する可能性があるでしょう。
ある程度の資金がなければ契約できない可能性もあり、エリアの変更や物件の見直しなどを余儀なくされるケースもあります。
また、ランニングコストとしては以下などが必要となることが一般的です。
- 家賃
- 共益費
- 管理費
- 水道光熱費
- ネット料金
- 交通費
フリーランスとして独立したばかりであれば収入も安定していないため、資金の確保が難しいケースもあります。そのため、資金を貯めてから独立することも視野に入れてみてください。
備品を買い揃える必要がある
事務所を借りると、自分好みの環境を整えられる点が魅力です。
しかし、必要となる設備や備品は新しく買い揃える必要があります。例えば、以下のような備品が必要となるでしょう。
- デスク
- オフィスチェア
- キャビネットや棚
- 来客用のソファや机
- コップやカップ、カトラリー
- パソコン
- プリンター
- 電話回線
- ネット回線
- 文具
- ホワイトボード
- 冷蔵庫
- コーヒーメーカー
- 空気清浄機 など
あらゆる設備や備品を用意しなければいけません。
費用を抑えたいからと安価な備品を購入する方もいますが、壊れやすかったり使い勝手が悪かったりするケースもあります。例えば、チェアは種類によって座りやすさも費用も異なります。
費用を抑えたい場合、安価なものに目がいきがちですが、座りやすさも作業に支障を与えるはずです。こだわりたい部分には費用をかけ、後悔しない設備選びをしましょう。
通勤の手間が生じる
フリーランスとして事務所を構えたい場合、自宅からの通勤時間も考慮して物件を選ぶ必要があります。
自宅で仕事をするメリットの1つに通勤が必要ない点が挙げられます。自宅から近い場所に事務所を構えたとしても事務所まで行く必要があり、雨や雪が降れば面倒だと感じてしまうでしょう。
自宅から離れた場所に事務所を構える場合は、交通手段も考慮しなければいけません。最寄り駅や最寄りのバス停など、事務所からある程度近い場所になければ通勤に手間取ります。
また、公共交通機関を利用する場合には、電車やバスが通る時間の確認も重要です。
地域によっては、1時間に通る電車やバスの時間も限られ、時間帯によっては運航していないケースもあります。乗り遅れた際には長時間待つことになるため、ストレスを感じてしまうでしょう。
車通勤の場合も、朝の時間帯や夕方は周辺の道路が混雑し、渋滞する可能性もあるため、前もって調査しておくことが肝心です。
仕事と家事や育児との両立が難しくなる
フリーランスは柔軟な働き方ができる点がメリットです。自宅で働くとなれば、子どもの急な体調不良時にも学校や保育園にすぐに迎えに行くことは可能です。可能であれば、面倒をみながら仕事をすることもできます。
しかし、事務所が別にあり、加えて自宅から遠い場所にある場合はすぐに帰宅できません。
家事の時間も通勤に時間を取られるため調理や掃除、洗濯などが思うようにできないケースもあるでしょう。ライフスタイルにあった働きやすい方法を考え、万が一の際には自宅でも仕事をできる環境を整えておくと両立もしやすくなるはずです。
「事務所」以外の仕事場のメリット・デメリット
事務所を設ける以外にも、フリーランスが利用できる仕事場は複数あります。例えば以下などです。
- 自宅
- レンタルオフィス
- バーチャルオフィス
- カフェ、ファミレス
- 図書館などの公共施設
これらの仕事場のメリット・デメリットをそれぞれ解説していきます。
「自宅」のメリット・デメリット
自宅での仕事はコストや時間を抑えられる点がメリットです。
通勤する必要もなく、交通費もかかりません。ある程度のインテリアや設備も揃っているので、初期投資も抑えられます。
また、自分の好きな時間に仕事ができる点も魅力です。
作業計画は自分で練る必要がありますが、プライベートを重視した働き方も可能でしょう。育児や介護をしている方も、自宅で仕事ができるので両立しやすいといった特徴があります。
ただし、前述したようにプライベートと仕事の切り替えがしにくい点がデメリットです。自宅の情報が漏れやすく、仕事の関係者も呼びにくいため、思っていたような事業運営ができないケースもあります。個人情報が漏れると、トラブルに巻き込まれるリスクもあるため注意が必要です。
「レンタルオフィス・シェアオフィス」のメリット・デメリット
仕事で使える設備や環境があらかじめ用意されている貸事務所がレンタルオフィスです。設備費は利用料金に含まれていることが一般的なので、初期投資を抑えることが可能です。
立地の良い環境でもほかの人と空間を共有することで、リーズナブルな価格設定になっているオフィスもあります。
また、レンタルオフィスの中には法人登記や住所利用が可能な施設もあります。その場合は名刺やWebサイトにも記載でき、郵便物の受け取りも可能です。会議室の利用が可能な施設や共有スペースでの来客対応ができる施設もあるので、仕事の関係者との打ち合わせも行えます。同じレンタルオフィスで仕事をしているフリーランス仲間との情報交換も可能でしょう。
ただし、レンタルオフィスによって費用やサービス内容が異なります。そのため、使いたいサービスや予算に合わせて選ばなければいけません。
また、ほかの利用者と一緒に使うシェアオフィスの場合、周囲が気になり仕事に集中できない可能性もあります。利用時間が決められているケースもあるので、時差のある企業とのやり取りをする場合には24時間利用が可能なレンタルオフィスを探すのがおすすめです。
「バーチャルオフィス」のメリット・デメリット
バーチャルオフィスは仮想オフィスを意味しており、仕事で必要となる住所や電話番号を利用できるサービスです。
作業スペースがないので、仕事をする場所は自宅やカフェなどとなります。仕事をする上で自宅の住所など、個人情報を公開したくない方にとっておすすめのサービスです。
オフィスを借りるわけではないので敷金や礼金を用意する必要もなく、費用を抑えられる点もメリットといえます。また、バーチャルオフィスが提供している住所には、一等地の住所を利用できるものもあります。
東京であれば青山や銀座、新宿などです。
住所が一等地であれば、「ある程度は儲けのある会社なのだろう」と想像できます。そのため、事業のイメージアップにもつながるでしょう。
フリーランスは取引先や顧客からの信頼が大切です。信頼を得ることは容易ではないため、住所である程度の信頼を確保できる点はメリットとなります。
ただし、郵便物の受け取りに時間がかかるケースがあります。
実際に働いている場所ではないため、バーチャルオフィスに郵便が届いた際には転送してもらうか自分で取りに行かなければいけません。そのため、急ぎで受け取りたい郵便物がある場合には注意が必要です。
また、職種によっては許認可が取れないケースもあります。あらかじめ確認してから利用を検討してください。
「カフェ・ファミレス」のメリット・デメリット
カフェやファミレスもフリーランスの仕事場として利用できます。
施設によってはWi-Fiやコンセントを設置しているところもあります。そのため、パソコンさえあれば自由に仕事をすることが可能です。
プログラマーやライター、グラフィックデザイナーといった仕事であれば、カフェやファミレスでも問題なく作業を進められるでしょう。飲食もできるので、息抜きをしながら仕事もできます。
ただし、セキュリティ面を考慮するとあまりおすすめではありません。不特定多数の人がアクセスできるWi-Fiを利用するのは情報漏洩のリスクがあります。周囲の人が作業を覗き込み、情報を入手する可能性もゼロではありません。
また、長時間利用する場合はお店に迷惑をかける場合もあります。
利用時間やマナーには十分に注意して作業を進めなければいけません。カフェやファミレスは、メインの仕事場が別にあって気分転換を目的に利用したり、プライバシーに注意しなければいけない作業や長時間の作業以外で利用したりするのに向いています。
「図書館などの公共施設」のメリット・デメリット
図書館といった公共施設でも仕事をすることは可能です。無料で利用できる施設がほとんどなので、費用をかけずに作業場を確保できます。
また、図書館であれば静かな環境なので集中力を維持しやすいでしょう。しかし、飲食の制限やネット環境が整備されていない施設もあるので、あらかじめ確認しておくことが大切です。
さらに、カフェやファミレスと同様にセキュリティ面を考慮すると公共施設もあまりおすすめではありません。電話やビデオ会議をする場合は、場所を移動しなければいけないケースもあるので、手間に感じる方もいます。
ただし、市民会館やコミュニティセンターといった施設では会議室やイベントスペースを低価格で借りられるケースもあります。打ち合わせなどが業務上発生することが多い場合は、利用を検討してみましょう。
フリーランスの「事務所」選びで押さえておきたいポイント
フリーランスで事務所を契約して仕事を進める場合は、物件選びが重要です。ここでは、事務所選びで押さえておきたいポイントをご紹介します。
家賃
事務所選びでは予算を気にする方もいるはずです。フリーランスの場合、収入が不安定になる可能性もあるので、思うような収入が得られないときでも支払いが可能な家賃の物件を選ぶことが重要となります。
そのため、自分の平均月収からみてどの程度の費用を家賃に充てられるかを考えましょう。また、家賃以外にも光熱費や通信費といったランニングコストも忘れてはいけません。移動のしやすさや騒音環境、セキュリティなど、さまざまなことを考慮して手ごろな価格の物件を探すことが大切です。
立地
立地も事務所選びでは重要なポイントです。
自宅から遠い場所だと移動するだけでも疲れてしまいます。目安としては30分以内が理想でしょう。
アクセスが便利なエリアであれば通勤もしやすくなります。しかしその場合、家賃も比較的高額になりやすいので注意が必要です。
また、周辺環境も考慮しましょう。周囲が賑やかな場所に事務所があると騒音によって仕事に支障をきたす可能性があります。静かな環境を好むのであれば、郊外や住宅街を選んで事務所探しをしていきましょう。
設備
働きやすさを手に入れるためにも設備は重要です。仕事をするスペースを確保することも大切ですが、クライアントとの打ち合わせをする可能性もある場合は、ある程度の広さや会議室のある事務所を借りると良いでしょう。
また、長時間仕事をするとなれば休憩スペースも必要です。キッチンがあれば食事の温めやお茶の用意ができます。
また、事務所は自分だけではなくクライアントが利用するケースもあるので、整備された環境であることが重要です。
とくにトイレなどの水回りが清潔でないと会社のイメージにも関わるでしょう。汚れが多い、古い設備といった場合には修繕やリフォームができるかも相談しておくと安心です。
フリーランスが「事務所」を借りる際に事前に知っておくべき注意点
物件選び以外にも、フリーランスが事務所を借りる際には注意すべき点があります。最後に、主な注意点について解説します。
入居審査が通りにくい
フリーランスは収入が不安定になりやすく、社会的信用度が低い傾向にあります。一般的には事務所を契約するとなれば安定した収入が求められるため、フリーランスが事務所を借りる際には入居審査が通りにくいリスクがあります。
そのため、せっかく見つけた希望の事務所を借りるために、収入証明書を用意しておきましょう。収入証明書には、課税証明書や所得税の納税証明書、地方税納税の証明書などが当てはまります。管理会社によっては前年度の確定申告書の控えを求められるケースもあるので、あらかじめ用意しておくとスムーズに申し込みができます。
事務所利用ができないケースがある
賃貸物件には、居住用と事業用の2つの種類があります。事務所として活用するためには、事業利用できる物件を探さなければいけません。「黙っていればわからない」と判断して居住用の物件を事務所として利用した場合、契約違反になり違約金や強制退去になる危険もあります。そのため、必ず事業用の物件から事務所を探すようにしましょう。
連帯保証人が必要になることがある
賃貸事務所を契約する際、家賃保証会社とは別に連帯保証人が求められる物件もあります。
連帯保証人とは、借主が家賃を納められずに滞納した際に、代わりに支払う責任を負う人物です。賃料の滞納リスクをカバーするための措置となり、一般的には親族や友人が保証人となります。
しかし、万が一の際には滞納していた賃料を支払うことになるため、頼みにくく断られるケースもあります。用意できない場合は、保証人のいらない物件を探す必要があるでしょう。
まとめ
フリーランスによる事務所選びに関する情報をお伝えしました。
フリーランスは、一般的に自宅で仕事をしている方が多い傾向にあります。通勤する必要がなく、コストを抑えられる点が大きな利点です。
しかし、事務所を借りることで信用を得やすくなり、仕事上の関係者を招きやすいメリットが得られます。プライベートと仕事の切り替えもしやすく、個人情報を非公開にできるので安全性もアップします。
もし、事務所を借りて仕事をスタートしたいのであれば、今回ご紹介したように家賃や立地、設備などを考慮して自分に最適な事務所選びをしましょう。
ただし、借りる際には注意点もあるので、理解をしてから契約することが大切です。満足のいく、事務所選びを進めてみてください。